公的使命と効率的経営の両立は可能か?

現在発売中の"週刊東洋経済(2009/7/18特大号)"を読んでいる。まだ全部は読んでいないけれど、特集は"徹底ルポ・病院診療所−地域・救急・がん医療の現場"というタイトルで、全国各地の病院や診療所の現実がリポートされている。

社会福祉施設もかなり厳しい状況ではあるけれど、より"いのち"に密着している病院や診療所のあまりに深刻な状況に、何をどう考えればよいのか、正直にいって呆然とする気持ち。同時に、東京はまだまだ病院数も多いし、かなり恵まれた状況であることを実感する。

特集のなかで、"知事が改革を絶賛 大阪府立病院の光と影"という記事があった。前知事の時代である2006年に"赤字続きだった府立5病院"が独立行政法人化され、以降単年度収支は黒字に転じ、不良債権は半減した、とある。収入増のひとつの理由は、"診療報酬請求では、できるだけ手厚い加算をとりにいった"(担当者の説明)こと。支出の削減は、言うまでもなく業務の外部委託化や給与水準の見直し(新規採用職員には府より低い水準)による人件費の抑制。

他方では、深夜残業が常態化し、看護師の離職率は上昇、収益優先に馴染まない医師は退職していく状況と記事には書かれている。さらには給食業務が外部委託化されたため食物アレルギーをもつ患者に通常食が配膳されたり、ベッドの回転率をあげるために異なる診療科の患者が病棟での混在が常態化し、子どもの患者に不慣れな病棟看護師が成人と同量の投薬をしてしまうなどの事故やヒヤリハットが増加しているという。

同じ記事のなかに掲載されている、この独立行政法人の理事長のインタビューには"公的使命と経営健全化の両立は可能"という見出しがついていて、"大切なことは自治体病院としての公的使命と、経営健全化という2つの使命を追及すること。職員の意識改革と優秀な医師確保が成否のカギを握っている"と結ばれている。

…ということで、時間切れにて今日はここまで。続きはまた後日。