冲方丁"光圀伝"[14〜16/100]

昨年11月下旬から12月初旬にかけてkindleで夢中になって読んでいた冲方丁"光圀伝"(角川書店,2012)。色々な意味でものすごく面白かったし勉強になったので、きちんと読書記録を書こうと思ってそのままになっていたので、某所にメモ的に書いたのを一部修正して転載。

紙だと750頁を超す大作、電子書籍版は3部作。美事な歴史エンターテイメント小説。小説の面白さを堪能。実は歴史はあまり得意ではないのだけど、最近仕事上で必要な制度を勉強するには背景となる歴史がわからないとなぁと思っていたところで、冲方さんのおかげで、さらに俄然興味が出て来た。

天地明察を読んだときもどこまでが史実でどこからかフィクションなのか知りたくなったけど、渋川春海についての手軽な史実書が見つからず。でも黄門様は、よりフィクションよりのものも含めて多数の関連書籍があるので、少し読んでみたい。

この光圀伝は、水戸黄門様の少年時代から隠居するまでが書かれているのだけど、中盤以降、組織運営とリーダーシップ論としても読める箇所が多数あり、自分自身が上司から指導されてることについても「ああ、こういうことか」と腑に落ちることがあった。

あとはやはり勉学の大切さを痛感した。

余談。例えば光圀や春海の時代には、一定レベル層以上の共通言語となる「教養」が明確に描かれている。いまの日本には、そのような共通言語としての教養が確立されていないこと、さらに言えば例えば高校を、例えば大学を出たら最低身につけられる知識と教養、がないこと、これが社会の浅さ、未成熟さに帰結してるのでは、などとつらつら思ったのだった。