社会福祉法等の一部改正案

2月に出された社会保障審議会福祉部会の報告書”社会福祉法人制度改革について”に基づき、4月3日に国会提出された”社会福祉法等の一部を改正する法律案”が、7月3日に衆議院厚生委員会で審議が開始されました。

社会福祉制度全体に大きく影響するので、色々調べていたところ、”きょうされん(主として障害者の共同作業所を中心とする障害者関連団体)のサイトに厚生委員会の前日に野党が行ったヒアリングの報告が掲載されていました。

そのヒアリング報告のなかに

厚労省からは「内部留保の定義はなく、その実態についてのデータははなはだ不十分。残念ながら感覚的に議論がすすんでしまった面がある。まずは定量分析できるように法改正をする」との回答がありました。

という記事がありました。

今回の社会福祉法人改革を主な目的とする社会福祉法一部改正は、”(巨額の内部留保をもつ等)一部の不適切な法人”の存在が前提になっています。ところが、その”一部の不適切な法人”の定義も実態もあやふやなまま、法律は改正され、制度は変えられていくのです。しかもそのことを厚労省が認めている、というのです。

そもそも”一部の不適切な法人”があるならば、所轄庁が適切に指導監督すればよいだけです。そういう法人には文書指摘でも改善命令でもガンガン出して、適切な法人に変えればよいだけです。何も法律改正することはなく、現行の制度で十分に対応可能なのです。

今回の一部改正案ならびに同時に厚労省が国会提出している各種改正案等をみると、この国の社会福祉制度、社会保障制度は一体どうなっていくのか、と心底恐ろしくなります。大企業と高所得者だけが優遇され、安定した生活が保障される国に突き進んでいくようにしか思えません。