美崎栄一郎"「結果を出す人」はノートに何を書いているのか"

美崎栄一郎「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」(Nanaブックス,2009)は、発売当初から書店で見かけては手に取っては棚に戻すことを繰り返しており、今日も隙間時間に書店に寄った折にまた手に取ったので、これはちゃんと読んだ方がよいなと購入し、一気に読了。

要は、最近流行?の"ノート本"の一種であり、"学生のノートは覚えるため、社会人のノートは忘れるため"という基本方針に基づき、筆者が試行錯誤の末にたどり着いたノート術について具体的に紹介されている。なおこの基本方針、というか記憶の外部化についてはGTDをはじめあちこちで語られていることではあるけれど、そもそも加齢とともに短期記憶力は衰えるという生理機能からいっても、自分の経験上からも非常に重要であると思う。

ノートについて、私が強く意識するようになったのは3年程前に上司から"どんなノートを作っていますか?"と質問をされたことに発している。そのときは質問の趣旨というか意図が理解できず、確か"作っていません"と返事をした気がするのだけれど、当時だって作っていなかったわけではなく、単に意識して作ってはいなかっただけなのだ。その質問をきっかけに、私は自然にノートについて試行錯誤を始め、一番最初は会議やプロジェクトごと、または勉強や研修のように、目的別に分けた。本書にも指摘されているけれど、ノートを目的別にわけると内容ごとに時系列に並ぶのでわかりやすい反面、毎回毎回必要なノートを持参しなくてはならず、また忘れると代替が効かないという大きなデメリットがある。その次に、ピリピリとやぶれるタイプのノートを1冊使うようになり、どちらにせよ資料や議題等は会議やプロジェクト単位で二穴ファイルにつづるので、都度ページをミシン目で破っては該当する会議やプロジェクトごとのファイルに資料と一緒に綴るようになった。これは結構続いたけれど、仕事がつまってくるとミシン目で破って綴るという行為の時間的な負担感が大きい。

そして今年1月2日のエントリに書いたとおり、昨年末に奥野宣之"情報は1冊のノートにまとめなさい"(Nanaブックス,2008)を読んだことから、今年はA6ノート1冊方式を採用している。ほぼ1ヶ月で1冊を使い切るので、現在11冊目。Evernoteにスキャニングして保管性を高めたり、カバーをつけたり、この方式は定着しつつある。ただ使いにくいなというか、うまくないなと感じているのが、A6ノートだと当然書くスペースが小さいので、一つのテーマがどうしても複数ページに渡ってしまうこと。それから紙資料は折りたたまないと貼れないので、次のページ以降が書きづらくなること。縮小すれば解決するのはわかっているけど、その手間はかけたなくない。

そんなわけで、さらなる試行錯誤のフェーズに突入しかけていたので、次は本書で提案されていたA5ノートを母艦ノートにすることを採用してみようかな、と思っている。ちょうどキリがよいので、来年の1月からにしようっと。

本書の内容で、すでに実行していることもいくつかあった。例えば、ノートだけでなくありとあらゆる資料には右上に日付を自分で決めた表示方法で記載していること。会議のときには必ず席次を図でメモしておくことや、特に自分が議長の場合にはその会議で決定しなくてはならない事項を事前に明記しておくこと。会議で決定された事項と担当者をメモしておくのは当然。それから、同じ資料に対して異なる機会にメモを手書きするときにはペンの色を変えることなどなど。

反対に、これはぜひ実行しなくてはと思ったことは、第一に会議等にて自分が決定権をもたない事項についても、その会議で決まる"いつまでに""誰が""何をするか"という事項について、"予測"と"結果"の両方を記載するということ。"会議室が競馬場に変わる"と本書には表現されていたけれど、これは能力開発の手法としてもなかなか面白いのではないだろうか。

その他、読書をするときには、"必ず一つ、そこから何か自分で実行することを決め"(177頁)て母艦ノートに記録するという手法や、セミナーや研修に参加するときには、自分が抱えている課題とそのセミナーから学ぶテーマを事前に決めてメモしておく、ということ。

会議や研修やセミナーは、特に仕事が詰まっているときには"参加しなくてはならないから"と受身な出席になってしまう傾向があるけれど、上記の私が採用してみようと思う手法はどちらも、要するに受身ではなく主体的に、能動的に時間を使うための手法なのだと理解。時間を生かすも殺すも自分次第、というところかな。

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか (Nanaブックス)

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか (Nanaブックス)

  • 作者: 美崎栄一郎
  • 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
  • 発売日: 2009/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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