倉本美香"未完の贈り物-娘には目も鼻もありません-"[17/100]

これは書店の店頭でみかけてぱらぱらと読み出したら、止まらなくなり購入した紙の書籍。昨年12月27日に読了の記録あり。

筆者の倉本さんは元国際線の客室乗務員で現在は米国系企業に勤務するダンナさまとニューヨークに在住して、ご自身は会社を経営されているとのこと。現地で出産した長女の千瑠さんが目も鼻もない重度の障害をもって生まれて、その育児の過程や治療の様子、そして医師への裁判等についてまとめられた壮絶な記録。

自分自身も曲がりなりにも親として育児を経験中なので、お子さんが重い障害を負って出産してくることの衝撃や、そのことで自分を責めてしまう気持ち、さらにはご家族から遠く離れて暮らしていること、また子どもに痛い思いをさせて治療をしなくてはならないこと、千瑠さんの睡眠障害のためご自身も細切れ睡眠がずっとずっと続いていること等々、身につまされる思いで読み進めた。

ただ、倉本さんをすごい!!と尊敬してしまうのは、"大変な育児をしていること"ではなくて、そのことを仕事の言い訳にしないという姿勢が文章のところどころで見受けられることである。そして千瑠さんの弟や妹を授かり、四人の母であるという事実。私は自分が異国の地で仕事をしながら重い障害をもつ第一子を授かったら、そこから三人の子どもを産んで、なおかつ仕事に私情を表さずに両立できるだろうか、と考えて、とてもできないと思った。

千瑠さんのことだけではなくて、苦悩しつつも潔く"未完の自分"も含めて全てを引き受けている様子に強く感銘を受けた。へこたれそうになったら、読んで元気をもらいたい一冊。

光圀伝 電子特別版 (上) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (上) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (中) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (中) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (下) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (下) (角川書店単行本)

未完の贈り物-娘には目も鼻もありません-

未完の贈り物-娘には目も鼻もありません-