勉強の効用

@MBP
自信喪失しそうなときや道に迷いそうになったときには、勉強するに限るので、手元に届いたばかりの社会政策学会誌を読んでみた。特集1が”現代ヨーロッパの雇用流動化と所得保障”、特集2が”スウェーデン、デンマーク、日本の障害者雇用就業政策”、特集3が”日本の産業別組合機能の研究と手法”という目次。

特集2に掲載されていた訓覇先生の”スウェーデンの障害者雇用政策の見直しと新たな課題”も興味深かったのだけど、昼休みに読んでいて大きく頷いたのが中京大学名誉教授の猿田正機先生の巻頭言。長年トヨタ研究とスウェーデン研究をされてきた成果から、各国の社会政策と日本社会の実態の乖離について、特に人事管理・労務管理の点について述べられている。このなかで初めて知ったのが、スウェーデンで2009年にIF METAL(スウェーデン産業労組)と経営者団体間で締結された一年間の危機協定について。労働時間を短縮し、月給は下がったものの時給は影響しなかったとのこと。

私が留学した10年前にもスウェーデンでは”正規雇用だけどフルタイムの70%勤務”などという働き方が公共団体でも一般企業でもごく当たり前にみられていたけど、猿田先生はこれを”連帯雇用”と名付け、”同一価値同一労働賃金と並んで、全員を正社員としてフルタイムと各種のパートタイムを使い分ける雇用・労働時間制度は、人的資源を有効に使う方法として一考に値するのではないか”と書かれている。

勤務先法人では、10年以上前から雇用と勤務という概念を適切に区別しており、正職員のまま非常勤勤務が可能という画期的な制度がある。これを一歩進めて、採用の時から”正職員だけどフルタイムの○%勤務”という求人を可能にすると、ベテランの非常勤職員の定着も図れるし、この採用難の折に少しでも働く意欲のあるスタッフが集まるのではないのかななどと考えてしまった。