数日前の”超速読力”のエントリーに書いたとおり、今年は拙い読書感想文であっても読書記録を残しておこう。
菅野仁”友だち幻想”(ちくまプリマー新書,2008)を読んだのは昨年の年末だけど、その後すでに数回読み返しているので、今年の分としても記録。
友だち幻想からなんとか距離を取り、リアルな現実のなかで他者とつながりながら、じっくり深い<生のあじわい>を築いてゆきたいという思いが、私にはあるのです。そのための処方箋のようなものに皆さんと一緒に考えてゆきたい、というのがこの本のテーマだったのです。
わたしたちは誰でも”幸せになりたい”と思いながら生きている。ではその幸せとは何だろう?というのが本書のスタートで、人間の幸福にとっての本質はふたつのモメント(契機)に絞られると本書では論じている。ひとつは「自己充実」。「自分が能力を最大限発揮する場を得て、やりたいことができること」。ふたつめは「他者との交流」。他者との交流による幸福はさらにふたつにわかれる。それは「交流そのもの」と「他者からの承認」である。
この箇所を読んだとき、ぶんぶんと大きくうなづいた。あまりに簡潔にまとめられていて、しびれた。
実は本書は、ときに友だち関係に悩んでいる様子のムスメの力になれば、と思って手に取ったのだけど、自分自身の他者との距離感についてあらためて考える契機になり、子どもたちの”幸せ”について思いを馳せ、そのために自分がどのように接するのが適切なのか、自分を省みることができたのだった。
今後も繰り返し読み返すことが確実な、人生の指針になるような一冊。