”コンテナ物語”

マルク・レビンソン”コンテナ物語”(2007,日経BP社,Kindle版)を数日前に読了。職場の近くで貨物列車が走るのを見かけることがあり、以前は何も気にかけていなかったけれど、この本を読み始めてからは、あの長方形の箱がわたしたちのいまの生活を成り立たせていることに思いを馳せるようになった。

コンテナの発明がいかに流通を変え、私たちの生活の土台を作り上げているかという歴史的事実は、初めて知ることばかりで、そこを明らかにしている点が本書の最大の魅力だけど、もうひとつ場面場面で描かれる組織や企業の経営判断が非常に面白かった。

コンテナの発明者であるマルコム・マクリーン本人もそうであるように、先見の明がある個人や組織が必ずしも”成功”を収め続けられるばかりではないことは、なんとも悲しく寂しさすら感じるけれど、でもそれもまた事実であり。将来に渡る絶対の”正解”は誰にもわからず、存在しない。だからこそ個人も組織も、できることはただひとつで、将来の展望を描きつつ、”いま”最善と思う選択と行動を続けるしかない。その積み重ねを維持していけば、たとえ後から振り返ったときに”ああ、違ったな”と思う場面はあるにせよ、その判断自体を受け入れることができるのではないかと思う。全く勝手な想像だけど、マルコム・マクリーンは晩年は社会的な成功とは無縁だったかもしれないけれど、自身の判断を後悔はしていなかったのではないだろうか。

おまけ。雨天でもスニーカーなら気にせず歩けて楽。

コンテナ物語

コンテナ物語