棚おろしの効用

4月に入ってからの私の最大の業務は、自分の業務の引き継ぎ。まず自分の担当している業務をリストアップするところから始めて、上司と相談しながら引き継ぐ相手を調整。そのうえで、小室淑恵"なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術"(日本能率協会マネジメントセンター,2008)で紹介されていた"引き継ぎマニュアル"の作成方法を参考に、引き継いだ相手が参考にできて、さらに他の誰かでもそれを見れば業務が滞らないような資料をひたすらに作成している。

そんな業務の棚おろし作業も佳境に入りつつあり、今日はまだ引き継ぎの相手が決まっていなかった業務の確認を上司と行う。そのなかのひとつに、業務のタスク単位では大勢の協力を得ていたけれど、全体像はおそらく私しか把握していなかった大きな案件があり、その全体像についてプロジェクト−ジョブ−タスクの段階を追って、具体的な作業内容とそれぞれの関連性、行うべき時期について一覧に整理した。一覧にまとめてみて、初めて"うわ〜、こんな細かい作業をやっていたのか、自分は"と我ながらあらためて気付く結果となった。というより、この資料をもっと前に作っておけば、もっと自分の業務も楽に進めることができたのではないかと自問自答してしまった。

業務の棚おろしの重要性は色々な書籍に書かれており、業務のリストアップはこれまでも毎年行ってきたけれど、作業手順レベルまで細かく明文化したことはなかった。その重要性はわかっていても、日常業務のなかでは実現することが非常に難しいのはきっと私だけではないはず。なので、今回産休をきっかけに取り組むことができたのは、非常によい機会となったなと思っている。実際に引き継ぐ相手には負担となる部分もあるので、その点は申し訳なく思うけど。

作業手順レベルまでの棚おろしを行って、あらためて実感したのは、"自分にしかできない業務などはない"ということ。もちろん経験や慣れや知識の差はあるので、"自分がやった方が早くて確実な業務"はたくさんある。だけどその経験や知識を、明確な作業手順と必要な書式のテンプレート等にまとめてしまえば、そんなに戸惑いはなく引き継ぎや分担や共有はできるのだ。これまで自分で抱えていた業務も、もっと早くに手放すことも可能だったのだなぁと気がついた。ただ今回比較的スムーズに引き継ぎが進められているのは、ポコンたんを出産後に育児と仕事と両立するようになってからの4年間をかけて、意識的に業務を自分だけで抱えこむことを避けて、書類の管理を後輩にまかせて書類を共有することや必要な手順を共有したり、もともと業務の分担を意識して取り組んできた効果が大前提にあるかなとも思っている。

こんなにいさぎよく全ての業務の引き継ぎと棚おろしを行うのは今回が初めてだけど、周囲が私の不在でも困らずに、業務が滞らずに進められることを目標にしているので、残った時間を有効に遣って、晴々と産休に入りたいものなのだ。