CATVのAXNミステリーで"スウェーデン警察クルト・ヴァランダー"を放映していることを発見し、早速録画。8月にずっと放映されていたのに気付かず、最終話しか間に合わなかった。残念無念。がっくし。
原作は、大好きなHenning Mankellのクルト・ヴァランダー警部シリーズで、スウェーデン国営放送(SVT)がドラマ化した作品。もちろんスウェーデン人の役者さんばかり。最終話はまだ邦訳されていない"Pyramiden(苦い過去)"という話なのだけど、少なくとも登場人物の描写はかなり原作に忠実な印象。主人公のヴァランダーは原作でも妻と別居している背中に哀愁がはりついた冴えない中年男性なのだけど、ドラマでもRolf Lassgårdという(失礼ながら)見た目はあまり冴えない印象の中年太りの役者さんが演じている。この見た目の冴えなささと背中の哀愁と、されども粘り強く捜査する優秀な刑事であることがヴァランダーの魅力。最近は米ドラマの格好良い主人公たちばかりを見慣れているので、非常に新鮮(笑)
スウェーデンのドラマや映画は独特の"間"があるように思うけど、画面の重厚さと相まって非常によい感じだった。返す返すもシリーズの最初から見られなかったのが残念。再放送を切望。なお同シリーズはBBCでもドラマ化されたことがあるらしく、こちらも是非見てみたい。
久しぶりのスウェーデン語、スウェーデンのどんよりとした低く雲が立ち込めた冬の光景はなつかしく。録画を繰り返し見てしまうだろうな。
余談。ヴァランダーも熱心で優秀な刑事だけど、しばしば上司や組織の指示を無視して突っ走る。"24"のジャックを筆頭に、"Prison Break"のマホーン捜査官にしろ、"The Mentalist"のパトリックや"Dr.House"のハウス医師にせよ、優秀な人材というのは組織にはおさまらないものなのだろうか(笑)
このシリーズは、国際情勢を含めて現代スウェーデン社会が直面している問題を背景に生じる事件を中心に、EU統合問題や第二次世界大戦からつづく歴史的背景など、骨太な物語なので、警察小説や犯罪捜査ドラマを好きな方やスウェーデンに興味のある方には是非原作をおススメしたい。かなり読み応えはあるけれど、ぐいぐい引き込まれること間違いなし。
- 作者: ヘニングマンケル,Henning Mankel,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/01/25
- メディア: 文庫
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