ポコンたんに読み聞かせをしていると、絵本の翻訳は実に重要だということがしみじみとわかる。普段自分が読む書籍についても、もちろん翻訳は読みやすさ/理解しやすさに多大な影響を与えることは言うまでもない。だけど、読み聞かせは音読なので、文章のリズムが悪いと非常に読みにくいし、文字で黙読すれば気にならなくても声に出した途端にわかりにくくなる表現も多い。
少し前までポコンたんから連日リクエストされた"ひとまねこざるときいろいぼうし"は、初版が1954年と古いので、翻訳も古臭い。古臭いだけなら、まだしも、"こしかけに こしかける"など音読に向かない表現が多すぎて、実は読み聞かせるのが苦痛だった。
その前のポコンたんのお気に入りだったうさこちゃんシリーズは、さすがに洗練されていて、読んでいる自分自身も楽しかったので、そのギャップがひどく苦痛だった。
先日"三びきのやぎのがらがらどん"を購入してあげたら、大いに気に入ってくれて、やっと"ひとまねこざるときいろいぼうし"から解放された。"三びきのやぎのがらがらどん"は、内容は実はものすごく恐い(なにせトロルは目玉をでんがくざしに、骨も肉もこっぱみじんにされて谷川に突き落とされるのである)。だけど、翻訳がとても上手で、読むのが楽。さすがは瀬田貞二さん。
瀬田貞二さんは、私にとっては、ナルニア国物語シリーズや、J.R.R. Tolkien "ホビットの冒険"や"指輪物語"など、いまだに大好きな書籍の翻訳者さんなのだ。自分が小さい頃に"三びきのやぎのがらがらどん"を読んでもらっていた頃は、もちろんそんな著名な翻訳者さんだとは全く知らなかったのだけど。
上手な翻訳の絵本というのは、読み聞かせる親が楽しいばかりではなく、当然子どもにとっても文意をとりやすい様子。ポコンたんは、うさこちゃんシリーズと"三びきのやぎのがらがらどん"をそれぞれ数回ずつ読んであげると、ほぼ暗誦してしまったのだけど、"ひとまねこざるときいろいぼうし"は一番読んだ回数は多分多いはずにもかかわらず、ほんの一文くらいしか覚えなかった。子どもって残酷なまでに正直だ。
…とここまで書いてきて気がついたのだけど、これは別に翻訳の絵本に限らないことだったり。
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