サニスケと予防接種、この悩ましきもの

今日、サニスケは予防接種デビュー。先月予約していたBCGの予防接種がポコンたんの水疱瘡発症にて延期となり、年末年始をはさんでしまったために、こんなに遅くなってしまった。BCG予防接種の推奨期間は生後3か月〜6か月で、居住自治体の場合は6か月を過ぎると公費補助の対象外になってしまうのでギリギリセーフ。主治医からも"まだBCGなの?ずいぶん遅くなったわねぇ"と言われてしまった。決して予防接種を軽視しているわけではないのだけど、なぜかいつも忘れがちになる。1か月健診のときにリマインドしてくれたらいいのになぁ。…自分がうっかりしていたのが何より一番いけないのだけど。

ポコンたんのときには何もわからないままに定期予防接種だけは推奨されるとおりに受けてきたのだけど、最近様々な情報が入ってきて予防接種について考えると本当に頭が痛い。特に一番悩ましいのがポリオワクチン。最近では新聞やテレビでも度々報道されているとおり、日本では野生株のポリオ感染は1980年代初頭以来途絶えていて、現在のポリオは全て予防接種からの感染(ワクチン関連麻痺)。なぜワクチンで感染するかというと、日本で一般的に投与されているポリオワクチンは生ワクチンで毒性は弱められているけれど、感染力がある。またワクチン接種後に1か月間は乳児の体内で毒性が強まる作用があり、糞便を通して親や周囲のワクチンをもたない周囲の人々に二次感染、三次感染する可能性もある。ポリオの会のサイトによると、数十万人に1人の割合でワクチン由来のポリオが発症している。

日本以外の"先進国"では、ポリオワクチンは毒性のない不活化ワクチンが一般的で、不活化ワクチンの場合にはワクチン由来の感染もなく、当然二次感染、三次感染もない。ポリオの会のサイトには、"「不活化ワクチン」使用と「生ワクチン」使用の国と地域"という世界地図が掲載されているのだけど、これをみると本当に日本は先進国といえるのか??とつくづく感じてしまう。ちなみにどこかで読んだ話だけど、ポリオワクチンに限らず日本の予防接種行政は相当に遅れているのだそうだ。

なんでそんな安全なワクチンがあるのに、いつまでも生ワクチンを使用しつづけるのか、どうして輸入でもかまわないから不活化ワクチンを公費の対象にしないのか本当に疑問だ。で、全国ではまだまだ少数だけど、都内ではいくつかの医院では海外で使用されている不活化ワクチンを個人輸入することで、自費での不活化ワクチンの接種が可能にしてくれている。そしてそんな医院が通える範囲にある。これが本当に悩ましい。

今日の予防接種のときに主治医に聞いてみたところ、"そりゃ、不活化の方がよいに決まっているわよ。まったく国は何をしているのかしらね。だけどいまは費用もかなりかかるわよ。あと海外から製品を個人輸入しているから日本の検査を通っていないし、万が一のときには補償制度(予防接種健康被害救済制度)の対象にならないはずよ。あ、ポリオより先に三種混合を受けてね。大人の百日咳が流行っているから、赤ちゃん罹ったら大変よ"とのこと。主治医の病院で不活化ワクチンを対応する予定はありませんかと質問したら、やはり希望はあるらしいけれど、個人輸入をする予定はないとのこと。うーん、残念。

で、自分のために整理してみる(○:メリット、×:デメリット)。
・生ワクチン:○公費補助のため無料。○万が一のときに予防接種健康被害救済制度の対象。×確率は低いが、ワクチン関連麻痺のリスク。
・不活化ワクチン:○ワクチン関連麻痺のリスクなし。×費用が高い(6,300円×3回+4歳頃に追加1回)。×万が一のときに予防接種健康被害救済制度の対象外。×海外製品で日本の検査を通っていない。

不活化ワクチンのデメリットについて、費用はさておき、"万が一のときに予防接種健康被害救済制度の対象外"ということについては、そもそもワクチン由来のポリオ発症のリスクはなく、昨年7月に開催された第11回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料3-7の国立感染症研究所の"ポリオワクチンに関するファクトシート"にすら"重篤な副反応はない"とする表が掲載されている(p.13)のだから、実質的なデメリットではないといえるのではないか。"×海外製品で日本の検査を通っていない"というのは、主治医がデメリットとしてあげてくれたのだけど、例えば私たち一家がスウェーデン(または他の国)に住んでいたら、そもそもが海外の製品で予防接種を受けるわけだし、実際海外在住の日本人のみなさんは接種しているわけだし、これもどこまでデメリットなのかわからないような。

要は、生ワクチンの最大のデメリットの"確率は低いが、ワクチン関連麻痺のリスク"をどう考えるか、ということに尽きるのだ。フリダシに戻るという感じで、堂々巡りになるけれど。例えば、生ワクチンを接種する際に感染発症のリスクを減らす手段が何かあるならば、どういうときにそのリスクが高まるのか判明しているのならば、リスク軽減をはかることができる。だけど、そういうわけででもないらしい。

予防接種で自分のお子さんがポリオに罹ってしまったお母さんの手記にあった"分子の一になってしまった身からは、分母が数十万でも数百万でも関係ない"というような内容の一文が胸に深く深く刺さっている。さて、どうしよう??

目下の最大の悩みはこのポリオワクチン問題だけど、最近は水ぼうぞう、おたふくに、Hibや肺炎球菌など、自分たちの子どもの頃はおろか、ポコンたんが乳児だった5年前に比べても任意予防接種の種類が増えてしまって、何をどこまで受けさせるべきか、本当に悩ましい。調べれば調べるほどに悩みは深まるばかりだけど、だからこそきちんとせめて親として自分が納得できる選択をしていきたい。

追記:ポリオやポリオワクチンについて知りたい方は、ポリオの会のサイトや"ポリオワクチンに関するファクトシート"(PDF)をご覧下さい。

※お断り:上記文中の医療的な記述については、自分で理解できた範囲ですので、ご了承ください。誤りがあった場合にはご指摘いただければ幸いです。