"人民は弱し 官吏は強し”

@MBP
先日世田谷文学館で開催中の”日本SF展”をみて、売店にて星新一"人民は弱し 官吏は強し”(新潮文庫)を購入し、本日ほぼ一気読み。ショートショートで有名な星新一氏が、実父の星一氏について書いた伝記小説。星一氏は、アメリカでの留学経験をもとに星製薬を創業し成功されたが、新しい風を心地よく受け止めない既存勢力や官僚閥、政治的な動きのなかで、最後は廃業まで追い込まれてしまう、という物語。

あくまで星一氏側からの物語なので、反対側からみた場合にはまた異なる事情や物語があるのだろうけど、この本を読んだだけの感想としては、日本って結局いまだにそういう側面があるよね、という何とも情けなくやりきれない気持ちになる。

おまけ。読みながら祖母のことを思い出していた。祖母も頑固に自分の信念を貫き通した人だったけど、時代が追い風だったので、この手の妨害については聞いたことはない。ただ、祖母が信念を貫き実践するために、どれほどの周囲の協力と配慮があったのだろうかと考え込んでしまうのだ。

人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)

人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)