“線は、僕を描く“

2022年11月1日(火)

「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」

 

久しぶりに小説を読んだ。しかも非常に珍しいことに、日本の若手作家の作品。

サニスケの塾のプリントにこの物語が出題されていたのを、プリントの整理をしながら目にしたら読んでみたくなり、Kindleで即購入して読みはじめた。

主人公は大学生の孤独な青年で、高校時代に起きたある出来事を背負い続けているが、偶然出逢った水墨画の巨匠に見出され…というお話。ありがちといえばありがちで、現実はそんなにうまくいくわけはない、あくまでファンタジー、とも思う。

ただ、この作品は美しい。人間の心の良い面がフォーカスされるという意味でも美しく、そして、何より水墨画という世界を表現している文章が素晴らしく、美しい。全く知らない水墨画が目の前に立ち上がってくる、描写力もすごい。

イマドキの作品ではあったけれど、読後に清涼感と力をもらえる良い物語だった。